設立趣旨

 加茂町は山国です。
 加茂町の総面積は3697haでその大部分は山林や丘陵でしめられています。中央を東西に流れる木津川へ流れ込む石部川、赤田川、新川、蛇吉川の周辺にそって水田や畑や街がひろがっていますが、木津川近縁地域は天井川となっていて、過去に幾度かの水害が発生しました。(旧加茂町第3次総合計画より)
 昭和30年代には植林ブームに乗って相楽郡内で360町歩の造林計画がたてられ、加茂町でも27町歩の割当てがありました。同38年には加茂町森林組合が設立されています。
30〜40年前に植林された杉、ヒノキ林は、加茂町では一つ一つの規模は小さいものの私有の植林地として多数点在しています。
 しかし山村地域の過疎化がすすみ、山の管理は放置されがちになっています。若者は都会へ出て行き、田畑も、森も高齢者が働き手となっています。田んぼは機械に頼りながらなんとか出来ても、森林となるとやってはいけない現状があります。20年間に農業就業者は500人減りました。平成になって農業専業者は100数十名で、現在では、林業専業者はおりません。
 森林組合加入者も減少してきました。ベテランの森林作業経験者も少なくなってきています。
 20年前ごろはよく見かけた椎茸栽培もあまり見かけなくなりました。
 加茂町をとりまく山の景観は変わらず美しく見えますが、近くへ行き、中へ入ると荒れていることに気づきます。田畑の荒廃は目立つので問題になりますが、森の荒廃に気がつく人は少ないようです。外材頼みの木材市場で、せっかく育てても売れないので植林地や雑木林は放置されはじめました。薪としての必要性が薄れてしまいました。共益の里山は手入れが行き届かず、竹の進入を許しているところがあります。そして、良質の山土がとれるので、山を削り山土を持ち出すところが増えてきました。結果として、跡地利用としてゴミ処分場の計画が浮上してきました。
 山国としての加茂の魅力はのこっているのだろうか。
 JR加茂駅周辺や新団地を中心に都市化が進むのはいいことでしょう。
 古の恭仁京の都があったこと、たくさんの寺院が歴史的に重要な働きをしてきたこと、文化財が残っていることも加茂町の財産であることにまちがいありません。
 しかし、これらの全てが、加茂の山や川に支えられて存在してきたのであって、宙に浮いていたわけではありません。
 自然環境、地球環境で森林が果たす役割は大きいと叫ばれだしてはいます。
 そのためになにをなすべきかとかまえる前に、山と森林がたくさんある加茂町で、山の魅力、自然の魅力、森林の魅力を発見し、知ってもらうことから始めようと思いました。山とのかかわりの中で培われた伝統や工芸があるだろうし、山を育て、森林を利用する技術もあるだろう。技に長けた人材が埋もれていることだろう。ひとつの発見が、<加茂>のことをさらに好きになり、次の<加茂のいいところ>の発見につながるのではないか。
 そんな積み重ねの中から、自然を破壊せず、共生出来る生き方も見つかるのではないか。
 発見のためには、まず、森へ出かけなければならない。そして、触れてみよう。
 ボランティア組織として、自ら楽しみながら、森林作業にとりくんでみよう。

新聞記事
2004年11月6日 京都新聞24面山城地域版
2014年4月29日 京都新聞24面山城地域版

トップページへ

inserted by FC2 system